知床半島のオショロコマを脅かす外来種の存在!

世界遺産の知床半島の河川状況

2019年5月

知床連山

知床連山

国後島

国後島

2005年平成17年)に世界自然遺産登録となった知床。その南側に位置する羅臼町を中心にニジマスが増えてきている、との噂を耳にした。また、在来種であるオショロコマの個体数の減少も顕著であるとの事。今回はその噂が本当かどうか試してみる事にした。ターゲットとなる河川は羅臼町から相泊(あいどまり)地区までの河川の数本。

結果ははたしてどうなったか?

世界自然遺産の知床半島


知床半島

北海道東部に位置する知床半島は、北半球における流氷の南限とされ、流氷下のアイスアルジー(氷に付着した藻類)や流氷形成時の鉛直混合により作られる栄養塩の豊かな中層水がもたらす植物性のプランクトンの大増殖を基礎とした食物網を通して、多種多様な生物が生息・生育する地域となっている。生息するシロザケ(サケ)、カラフトマス、サクラマス、オショロコマが、海と川を行き来し、これらを重要な餌資源とするヒグマやシマフクロウ、オオワシ、オジロワシといった大型の哺乳類や絶滅のおそれのある猛禽類をはじめ海棲哺乳類(海獣)、海鳥など様々な生きものが生息し、北方系と南方系の野生生物が混生するなど、海域と陸域の自然環境が密接に影響し合い、多様な生物相と生物間相互作用に支えられた豊かな生態系を形成している。また、火山活動により形成された急峻な知床連山、山麓を覆う原生的な森林、切り立つ海岸断崖、多様な湿原・湖沼など様々な景観が凝縮され、優れた自然美を有している。自然遺産登録の対象は、知床半島とその沿岸海域となっており、日本国内で初めて海洋を含む自然遺産の登録となった。

Wikipediaより引用

遺産地域 面積:71,000 ha(陸域48,700 ha、海域22,300 ha)

  • 川:岩尾別川、カムイワッカ川、ルシャ川、テッパンベツ川、アウンモイ川、ルサ川、ケンネベツ川、サシルイ川、羅臼川
  • 滝:フレペの滝、カムイワッカ湯の滝、カムイワッカの滝
  • 湖沼:知床五湖、羅臼湖、知床沼
  • 山:遠音別岳(1,330m)、知西別岳(1,317m)、天頂山(1,046m)、羅臼岳(1,661m)、サシルイ岳(1,564m)、知円別岳(1,544m)、知床硫黄山(1,562m)、知床岳(1,254m)
  • 岬:プユニ岬、知床岬

羅臼岳

羅臼岳については2018年8月に単独登頂済み。最悪の天候で随分怖い思いをしたのを記憶している。近々リベンジ予定。

川については、いずれも未釣行。羅臼町の羅臼川より北の河川が遺産地域の川となるようだ。世界遺産地域を釣り歩くことは恐れ多い事だが楽しみでもある。

初めて挑む知床河川

知床半島の川

知床の河川は今回初釣行となる。あらためて考えてみると未釣行であることに自分でも驚きだった。

私の住む中標津町は、全国的に見れば極東地域に位置するかもしれないが、本当の意味での極東ではない。羅臼町や根室市なんかが本当の意味で極東といえるのではないだろうか。

仕事の都合では幾度となく訪れる羅臼町だが、今まで釣りで訪れることは一度も無かった。こんなにも近くにある秘境を試すことなく、へたくそとは言え釣り師を名乗るとは本当におこがましい。湿原系の河川にはある程度順応してはいると自分では思っているが、山岳系の渓流河川は殆ど経験がない。自分の釣りがどこまで通用するかも試してみたい事の一つでもある。

外来種の存在、噂の検証

ご存知の方もいると思うが、ニジマスとブラウントラウトについては世界の侵略的外来種ワースト100日本の侵略的外来種ワースト100に定められている。

知床博物館研究報告(2003)によると知床の特定の河川では随分前からニジマスの存在が確認されている。また2002年の調査ではブラウントラウトの存在も確認できており、在来のオショロコマへの影響も甚大であるとの報告がなされている。

知床の河川の殆どが、源流から海までの距離がそれほど長くはない。一河川における魚類生息のキャパシティは他の道東湿原系河川に比べると極めて限定的であろうと言う予測がつく。万が一それらの外来種が居付くことになってしまったら、やはりその影響は計り知れない物であろう。

在来種オショロコマとは

日本の在来淡水魚のオショロコマ(イワナの一種)。全長約30cm、生息地は北海道。サケ目サケ亜目サケ科。アメマスの近縁種。河川の最上流部に棲む、アメマスとの棲み分けがあるが混棲域では下層に棲み、知床のような流程が短い河川では源流から河口まで広く分布する。日本では降海はまれだが、カムチャッカやアラスカなどでは降海するものが多いと言う。河川残留型は体側に5~10個のパーマークと朱赤色の斑点があり、背部は白色の斑点がある。個体によっては腹部や鰭の赤色が濃い物もある。水生昆虫などを食し産卵期は10~11月である。

 

在来種オショロコマの個体数は?

知床半島の川

 

知床半島の川

いざポイントへ到着し、河川の状況を確認してみると殆どの河川が海から程近い所すぐに砂防ダムが出来てしまっている。一応遡上の妨げにならぬように魚道も設置されてはいるが、本当に上流まで行き来できるかは疑問である。

知床半島の川

サケの稚魚であろうか?今の時期はどこにでもいる稚魚ではあるが外来種の稚魚ではないことを祈りたい。

オショロコマ知床

小型のスプーンを使用しての釣りだが、開始早々まるまると太ったオショロコマが顔を見せた。この河川にはしっかりと在来の魚類が生息している。

オショロコマ知床

 

オショロコマ知床

知床のオショロコマ

オショロコマ知床

 

オショロコマ知床

中には型の良いのが数本釣れた。いずれの魚体も本当に傷一つない綺麗な魚体をしている。

オショロコマ知床

 

オショロコマ知床

 

オショロコマ知床

 

オショロコマ知床

 

オショロコマ知床

海から砂防ダムまでの100メートルに満たないであろう区間に、相当数のオショロコマの確認が出来た。私の釣りが下手なのか外来種の確認はできなかった事に少しほっとした気分になる。

しかし水系を変えて在来種の駆逐が予想される河川での釣果は・・・

ニジマス

しっかりとニジマスが顔を出してくれた。これもまた見事な魚体である。50ジャスト!

釣りを終えて

今回は調査みたいな釣行となったが、やはり外来種のエリア拡大は否めないであろうと思う。人為的な放流でない限り、海との行き来が容易な河川であるため降海型の存在が生息エリアの拡大に関わっているのではないかと思う。今回釣れたニジマスにしろオショロコマにしろ、共に幼魚の確認も出来た。どちらもその水系での再生産は出来ているらしいので、今すぐに在来種に劇的な影響が出てくるとは思えないが、長期的な目線で見ると事態は深刻であることに変わりはない。

見出しに潜むと記載させてもらったが、水系によっては潜んでいるどころか大繁栄していることも併せて確認できた。なので、現状況では深刻ではあるにせよ絶望的ではない、と言うのが私の個人的な感想である。いつまでもこのオショロコマと言う在来の綺麗な魚体が棲み付いてくれることを切に願いたい。

具体的な河川は今回は伏せさせてもらおうと思う。釣りのフィールドはすべての人に開かれるべきである、との考えに異論はないが、あえてネットで晒す事もないだろうとも思う。それは決して意地悪とかではなく、あくまでも趣味の範囲での釣りならば、最後の答えは知らない方が楽しめるのではないかと言う私の勝手な個人的観念に他ならない。推理小説も犯人が誰であるか先にわかってしまうと味気ないものになってしまうのと近い感覚なのかもしれない。

まだまだ身近に魅力的な釣りポイントが存在しているものです。


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