西別川とはどのような川か?
西別川は世界一の透明度を誇る摩周湖の伏流水を水源とし、緑豊かな北海道の道東の大地を潤しながら、遥かに国後島を望む根室海峡まで悠然と流れている全長約80kmの河川。
川底にバイカモが生息する西別川。年間を通して水温が安定している道内の湧水系河川では珍しくないのだが、その流程がこれ程長いのはそれほど多くはない。おそらくスプリングクリークと呼べる河川の中では最大クラスと言えるのではないだろうか?
西別川に生息している魚種は?
西別川には13種の魚類が生息している。その中での主な魚種はサクラマス、ウグイ、アメマス、オショロコマ、エゾイワナ、ニジマス、ヤマメ、カワマス(ブルックトラウト)等。この他シロザケ、カラフトマス、ベニザケも遡上し、国内に生息する殆どの鮭鱒類を見る事が出来る。下流域にはイトウも生息するという。
特にカワマス(ブルックトラウト)にいたっては大変貴重で、外来種に指定されてからは再放流できず、道内では減少の一途をたどっている。
カワマス(ブルックトラウト)
西別川が保護水面に指定される
昭和58年(1983年)11月28日、西別川が保護水面に指定された。
保護水面とは、1年を通じてすべての水産動物の採捕を禁止するもので、道内では現在32カ所の河川が指定されている。
ではなぜ西別川が保護水面の指定を受けることになったのであろうか?しかも通常は全面禁漁となるはずが、この河川だけは部分禁漁となっている。支流のオンネベツ川の合流から上流の本支流は現行法の範囲内で釣り人に開放されることとなった。
保護水面への理由は単純だ。
昭和50年代中旬辺りから、サケの親魚の捕獲数に減少傾向が見られていたため、サケ資源を保護するために西別川を全面禁漁にしようと検討されたのが始まりらしい。
しかしながら、釣り人もまた資源保護の被害者だ、との考えから北海道スポーツフィッシング協会等の有志団体が全面禁漁に対する反対の署名活動を開始し、北海道庁との折衝を進める事となった。
その後、折衷案として道内としては珍しい、今現在の部分禁漁の保護水面が成立する。
今、私たちがこの美しい西別川で日々釣りが出来るのは、過去に甚大な苦労があったという事を忘れてはいけない。そして、釣り人の行動次第では、変えていける未来もあると言う事も忘れてはいけない。
人気の魚種はニジマス
この川の人気の魚種は言わずと知れたニジマスだ。『本当のニジマスのファイトを知りたければ西別川へ行け』と言われるほどに、ここのニジマスのパワーは強烈だ。
掛かった瞬間に2度3度と、川面を割ってジャンプする様は、まるで気が狂った暴れ馬のようだった。私も幾度か対戦する機会があったが、あの時ほど魚相手に心躍り興奮したバトルは他にない。
西別川にニジマスが放たれた年代については定かではない。今から70年以上も前に、西別川の水源でもある摩周湖にニジマスが放流された。その時、虹別のさけます孵化場を経由した経緯があり、それと前後して移入されたのではないかと考えられている。
変化する河川環境
私が西別川へ通い始めた頃と、今の西別川は比べ物にならない位に大きく変貌してしまった。
なかでも水量の減少は顕著で、虹別市街を横切るポイントでは、水量はかつての半分ぐらいであろうか。そのため、狙いのポイントが少なくなり、フィールド的には少々魅力が薄くなったようにも思う。
水位低下の原因は、西別岳周辺の森林荒廃による湧水量の低下、下流の町村への上水道の供給など、さまざまな要因が考えられている。
かつての清らかな流れを取り戻そうと、西別川流域では各種の市民団体により植樹活動が行わるが、今のところ目立った改善はみられていない。
それに伴い、中下流域の水質の悪化も問題視されている。その主たる原因は、地域の基幹産業である酪農業による草地開発であるとされている。また、開拓期以降、広葉樹の森が伐採され、広大な面積が草地化されてきた事もあり、森を失う事によって土地は保水力を失い、ちょっとした降雨によっても家畜の糞尿が流出してしまう事も大きな問題となっている。
今でも大物の情報が絶えない
が、しかし。
悪い話ばかりではない。
環境が悪化していると言っても、毎年必ずと言っていいくらいモンスタークラスのニジマスやアメマスの情報を良く耳にする。
知人が釣り上げたニジマス74cm
なんともうらやましい話だが、昔と違い今は携帯電話のカメラ機能の向上により、いつ何時も証拠の写真を撮る事が出来る。
つまり、嘘はつけないのが現代のいいところでもある。そしてそれは確かな情報でもあると言う事だ。
魚が釣れないのは、私が変わらずへたくそな釣り師だからだ。
ここ数年、下流域でもバイカモが激減しているようだ。水量もさらに減り、魚の数も極端に減少していると聞く。
西別川の流域で、村の守り神「コタンコロカイム」(シマフクロウ)が、今後の西別川の行く末をどのような思いで見守っているのであろうか・・・
水中動画撮影
追記
減少傾向にあったバイカモだが、2018年の現在では少々様子が変わってきた感じを受ける。以下参考までに
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