【然別湖】秋のミヤベイワナ遡上水中撮影【天然記念物】【動画】

然別湖ミヤベイワナ

はじめに

最近は魚を釣る事より、魚を撮る(撮影する)事に重きを置いて活動を行っています。

私の釣りの対象となる魚種は道東に生息している淡水魚、主にトラウト系に限られます。

俗に言うネイティブ、在来種である魚種にはある意味特別の感情もあるのかもしれません。

本質的には、ただただその魚たちを見てみたいと言う単純な思いだけなのです。

であるならば釣るよりも撮る方が早いのではないかと気が付きました。魚を傷める事もありませんし。

でも、一番最初は釣れない魚をいかにして釣り上げるかのヒントを探る為に動画を撮影したのが最初と言えば最初なのですがね。

然別湖ミヤベイワナ

さて、話は変わりますが皆さんは天然記念物のミヤベイワナと言う魚をご存知でしょうか?

北海道の然別湖にしか生息していないオショロコマの亜種です。

長年私はオショロコマの降海型であるドリーバーデンを北海道の地で探し求めています。

自分自身の目では未だに未確認ですが、ミヤベイワナに至っては亜種とはいえオショロコマの降海型とほぼ同種と考えられることから、一度この目で見てみたいと思い、今回探索に出向いた次第です。

今回はそのミヤベイワナについて水中動画や撮影してきた画像をもとに歴史や生態などについて紹介してみようと思います。

その時に利用させてもらった然別湖野営場の様子も併せてご紹介いたします。

ミヤベイワナを知るきっかけとは

然別湖ミヤベイワナ

以前より名前だけは知っていて、特に興味も無くイワナの一種くらいにしか思っていなかったのですが、ある時一枚の水中写真に出会って、なんて綺麗な魚なんだとすっかり心を打たれてしまいました。

私が長年追い求めているカムチャッカの外道ガリエツ(ドリーバーデン)そのものと言える美しい魚です。

もちろんその時はまだ魚釣りを思いっきりに楽しんでいた時期でしたので、とにかくその魚を釣ってみたいと言う思いの方が先に立っていました。未だに実現はしていませんけれども。

ミヤベイワナとは

然別湖ミヤベイワナ

北海道の然別湖にのみ生息するサケ科イワナ属の淡水魚で、オショロコマの亜種。

約1万5千年前に大雪山系の火山噴火により現在の然別湖が生まれた時に、川と海を往復していたオショロコマが湖に陸封されて、湖沼内で独自の進化を遂げたもの。

ミヤベイワナは環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。

ウィキペディア(Wikipedia)より引用

名前の由来

第一発見者の宮部金吾(みやべきんご)さんが命名・・・ではないらしいです。

宮部金吾さんはあくまでも発見者で、ミヤベイワナの名付け親は大島正満(おおしままさみつ)と言う方がイワナの分類上オショロコマと区別するために発見者の名前で命名されたと言う歴史があります。

オショロコマとの違い

オショロコマとの違いは尾びれ・胸びれがミヤベイワナの方が大きいと言う事です。しかしながら見た目だけで判断するのは難しそうですね。見た目の違いについて私個人的にはやや疑問です。

他に鰓耙(さいは)エラについたとげのような部分がオショロコマが21~22に対しミヤベイワナは26と、この部分については明らかに違いがあると言う事です。

鰓耙(さいは)の大まかな役割としてはプランクトンを濾(こ)し取るためのものです。

ミヤベイワナは長い年月をかけて鰓耙(さいは)が進化し、プランクトンを捕食しやすい形態に変化したものと考えられています。

生態

産卵時期は秋、9月初旬頃から一番大きな流入河川であるヤンベツ川に大量に遡上を開始する。

産卵後の受精卵が孵化し翌年の春には湖、然別湖へ下る。プランクトンや昆虫類を主食としながら成長し4年で成熟する。

母川回帰性があり、成熟後は一回の産卵では死なずに一生のうちに数回の繁殖行動を行なう。

一部は道南へ移入

1975年および1981年に北海道南部T川上流域(落差により閉鎖環境)にミヤベイワナの幼魚が放流される。

1982年には定着が確認されたが、現在は未確認。

然別湖の堰き止め湖説とカルデラ湖説

然別湖

然別湖の周辺では1千万年以上前から火山活動が始まり、東西ヌプカウシ、白雲山、天望山が出来、駒止湖も爆発して出来たと言われている。

東西ヌプカウシを生んだ大規模な火山により川が堰き止められて然別湖が出来ました。

一説には噴火によってからっぽになったマグマだまりが陥没して出来たカルデラ湖ではないかとも言われています。

最後の火山活動があったのは今から約1万2千年前。

ミヤベイワナの進化の歴史

然別湖ミヤベイワナ

然別湖周辺の火山活動はかなり長期にわたり活発だったようで、川がせき止められて湖が出来たのは数万年前から数十万年前と実は正確なところはわかっていないようです。

いずれにしても火山活動により湖が閉鎖環境となり、固有種のオショロコマが孤立したのは間違いなく。当時は単独種であったと推測されています。

主に湖で生活する個体にとって、それまで食べていた水生昆虫からミジンコなどのプランクトンへと食べるものが変化していった。

降海後の魚は通常魚食性を併せ持つと言われますが、ミヤベイワナについてはプランクトン以外に選択肢がなく、また大型化していく魚体にあわせ、より多くのプランクトンが必要だったのではないでしょうか。

湖が形成されてから数千~数万年をかけて、より環境に適した種へと変貌していったものと思います。

しかし現在の然別湖にはミヤベイワナだけではなく、人為的な移入により他の魚種も生息している。

1950年ごろのワカサギ移入からはじまり、その後サクラマス、ニジマス、ウグイが移入されている。

それによりミヤベイワナの食性がさらに変化しつつあるとの見解もある。

天然記念物ミヤベイワナの遊漁の歴史

然別湖ミヤベイワナ

ミヤベイワナは遡河回遊(そかかいゆう)性の生活史を持ち、湖で生活し秋に流入河川に産卵遡上する降湖型と一生を河川で生活する河川残留型の生活史が存在する。

降湖型の個体は、主に動物プランクトンを捕食しながら湖の中を回遊して生活し、成熟した個体は 9–11 月に流入河川に遡上して産卵する。

このような生活史を考慮して昭和43年(1968)12月に然別湖北部水域と流入河川を「然別湖北部水域および流入河川のオショロコマ生息地」として天然記念物に指定し、すべての動植物の採捕を禁止した。

天然記念物指定によってミヤベイワナの知名度が上がった事から然別湖の天然記念物に指定されていない水域に遊漁者が押し寄せた。その結果、ミヤベイワナの保護を目的とした生息地の天然記念物指定が、かえってミヤベイワナの減少を招く結果となった。

そこで、鹿追町は然別湖における魚類資源の適切な管理と、地域の資源として活用することを目的に1970 年 6 月に然別湖のうち天然記念物に指定されていない水域において第二種区画漁業権を取得し、これにもとづき 1975 年まで禁漁とする措置を取った。

特定の地域のみに生息する固有種を対象として遊漁が行われている例は、世界的に見ても珍しく遊漁が保全策として機能する結果となった。

ミヤベイワナを釣る方法

然別湖

然別湖と湖に流れ込む川は、すべて禁漁です。

地球上で然別湖にしか生息していないミヤベイワナ。

その魚を釣る唯一の方法。

それは然別湖特別解禁【グレートフィッシング然別湖】への参加です。

以下簡単ではありますが、概要を記させていただきます。

 

グレートフィッシング然別湖レギュレーション
  • グレートフィッシング然別湖とは
    • 固有種のミヤベイワナをはじめ貴重な野生動植物が生息するエリアです。然別湖で1年のうち50日間のみ、1日50名限定の特別解禁期間。
  • 遊漁期間
    • ファーストステージ 5月26(木)〜6月27日(月)33日間
    • セカンドステージ 9月16日(金)〜10月2日(日)17日間
  • 遊漁時間
    • ファーストステージ 午前6時から午後3時まで
    • セカンドステージ 午前7時から午後3時まで
  • フィッシングライセンス[遊漁料]
    • 4,190円 / 1名様
  • 遊漁者数
    • ファーストステージ 50人 / 1日
    • セカンドステージ 50人 / 1日

他にも厳密なレギュレーションやレンタルボートの費用などは下記リンクを参照にしてください。

2022年度 グレートフィッシング然別湖レギュレーション[遊漁規則]

    私の場合、休みの日程や費用が思ったより嵩む事、禁止行為と禁止エリアなど複雑なレギュレーション等が大きなハードルとなり未だに参加したことがありません。

    機会があれば是非にも参加してみたいとは思いますが、特別解禁と言うだけあって誰でも気軽に、と言うわけには行かないようですね。

    ミヤベイワナについての疑問

    然別湖ミヤベイワナ

    現地へ赴き水中での撮影を行っていると、ミヤベイワナと言っても見た目の個体差が大きく、河川残留型も含めて様々な色合い大きさの異なる個体を発見する事が出来ます。

    特に河川残留型と思われる個体については他の河川でも見られるオショロコマとなんら変わりはありません。

    上記にも記載の通り鰓耙(さいは)の数のみの違いであるならば当然と言えば当然ではあるのでしょう。

    そこで、毎度の事ながら疑問に思う事が出てきました。然別湖及びヤンベツ川に生息しているオショロコマはすべて(河川残留含め)ミヤベイワナなのでしょうか?(鰓耙で区分)。昨年秋にヤンベツ川の遡上を観察いたしましたが、小型の河川残留個体も多く生息しているようでした。

    自分で調べていても明確に答えが出せずにおりましたので、見当違いかもと思いましたが、思いきって問い合わせをしてみました。

    その時の内容はこちら↓

    鹿追ジオパーク様のご回答

    河川に残留している比較的小型のオショロコマも含めて全てを総称してミヤベイワナなのか?

    河川に残留しているものも全て、ミヤベイワナです。
    ミヤベイワナには降湖型と河川残留型の2タイプがおり、河川残留型の方が小型です。

    河川残留の小型の個体も鰓耙の数はミヤベイワナと同じ本数なのか?

    河川に残留している小型の個体もミヤベイワナで、その鰓耙の数はオショロコマの平均値よりも多くなっています。

    ヤンベツ川、然別湖にはミヤベイワナに進化する以前のオショロコマの個体は存在するのか?

    ミヤベイワナが然別湖に閉じ込められてから何万年という月日が経っています。
    何千世代も交配し続けており、元々の形質を持つオショロコマだけが、然別湖と流入河川の中でさらに隔離されて、他とは交配せずに残っているとは考えにくいです。

    鹿追町役場ジオパーク推進課 とかち鹿追ジオパーク 環境科学専門員 K様

    お忙しい中ありがとうございました。

    ミヤベイワナについての考察

    然別湖ミヤベイワナ

    色々と調べてみましたが、面白いですねミヤベイワナ。

    湖で生息している降湖型の美しい魚体は、ミヤベイワナだからと言うよりは本来オショロコマに備わっているものなのかもしれません。私個人の見解としてはオショロコマの降海型であるドリーバーデンに酷似しており、湖の水質や水深、生息ポイントなどによりブルーバックやグリーンバックの個体差が出ているのではないかと思います。

    現在はDNAの調査により、明らかにオショロコマとミヤベイワナの違いが見つかっております。しかしながら、他魚種の移入によりオショロコマの食性にも変化があるとの見方もあります。

    食性の選択肢がプランクトン以外にも増えたことから魚食の特性も多少ながら出ていると言うのです。

    今後また数万年かけて、さらにDNAレベルで変異を遂げるかもしれませんね。

    国設然別湖北岸野営場にてソロキャンプ

    国設然別湖北岸野営場
    • 開設期間
      • 7月1日から9月30日(予定)
    • ご利用料金
      • (1泊) 大人250円、子供150円
    • 場内共有設備
      • 管理棟、テント専用サイト(約30張)、炊事場、トイレなど
    • 駐車場
      • 利用者用駐車場あり
    • お問い合わせ
      • tel. 0156ー66−1135(鹿追町観光インフォメーション)
      • tel. 0156−66ー4034(平日8:30ー17:15)

    レンタル可能用品、なし

      今回ミヤベイワナの遡上観察と言う事で9月の中旬にお邪魔させていただきました。

      野営場の開設期間も9月30日までなので、なんとかぎりぎりでしたね。

      然別湖北岸野営場

       

      然別湖北岸野営場

       

      然別湖北岸野営場

       

      然別湖北岸野営場

       

      然別湖北岸野営場

       

      然別湖北岸野営場

       

      然別湖

       

      然別湖北岸野営場

       

      然別湖北岸野営場

       

      然別湖北岸野営場

       

      あまり広くはないのですが、サイトが適度に入り組んでおり人知れず静かにキャンプを張れそうです。

      トイレもバイオトイレと言う事で気になる臭いはまったくありません。比較的清潔感はありました。

      携帯電話の電波は全く届きません。シーズンの終盤と言う事もあり、キャンパーはまばらでざわついた様子はなく、静かに一夜を過ごしました。

      ミヤベイワナ水中動画【YouTube】

      さて、いよいよ撮影に入っていくわけですが、はじめて訪れる場所なので、撮影するポイントや魚の居ついている場所を探さなくてはなりません。

      周年禁漁区域なので、魚影はとにかく濃いのですが、これといった大場所的なところが少なく、要所要所のポイントまではかなり距離が離れています。

      然別湖ヤンベツ川

      増水時は相当な暴れ川になるのでしょうね、大きな倒木流木がいたる所に転がっています。

      そういう場所には大概群れで魚が居ついていますね。

      然別湖ヤンベツ川

      ほとんどがこのような浅いチャラ瀬となっています。

      探せばまだまだ撮影できそうなポイントは見つかりそうですね。

      今回ピックアップした撮影個所は4か所、午前と午後で太陽の陽の指し方が変わるので、影響の出そうなところから先にカメラを沈めていきました。

      以下YouTube動画になります。BGMに動画をつなげただけですが、水質の良い透明度の高さが映像でも十分にお判りいただけると思います。

       

      おわりに

      然別湖ミヤベイワナ

      いかがでしたか?

      今回は然別湖・ミヤベイワナの歴史についてほんの少し触れてみました。

      途方もない時間の中で作られた環境の中で、地球規模の大自然による変化、人類により加えられた変化。

      ミヤベイワナという魚は幾重にも折り重なった偶然が作り出した奇跡なのかもしれませんね。

      日常において美しい魚を見る機会というものは、実はそれ程多くはありません。

      現に私が追い求めている北海道のドリーバーデンには未だ御目にかかれていません。

      今回のミヤベイワナの撮影ではしっかりと映像に捉える事が出来ており、その部分だけは大変満足しております。

      しかしながら素人カメラマンなので、撮影技術については、まぁ目をつぶってください。

      試行錯誤を繰り返している最中です。

      これからもまだまだサケマスの水中撮影に挑んでいきたいと思います。

      今回使用したカメラ機材はこちら↓

      ソニー / コンパクトデジタルカメラ / Cyber-shot /DSC-RX100M3

      ソニー アンダーウォーターハウジング MPK-URX100A

      OLYMPUS 水中専用フラッシュ UFL-1

      INON(イノン)ワイドコンバージョンレンズ UWL-95 C24 M67 Type1

      INON(イノン)ドームレンズユニットIII A

      参考書籍↓


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